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Interview with Mike Tramp

 

Q ; 9作目となるソロ・アルバムの完成おめでとうございます。とてもピュアで、アーティスティックなアルバムだと感じました。今の感想をお聞かせください。

 第一にこのアルバムを完成することができたことを、アーティストとしてとても誇りに思っているところさ。このスタイルに辿り着くまで、とても長い道のりだったことを再認識している。知識と経験を積み重ねて40年さ。

 

 

Q ; このアルバムのセールス・ポイントは何だと思いますか?

 アーティストとしての自分とは何か?ということを示したアルバムだね。リスナーにはこれまでの自分とは少し違ったサウンドと感じるかもしれない。同じことをただ繰り返しやっていても進化することはできないと思うからね。そこには発展し、前向きなメッセージが込められているのさ。

 

 

Q ; マイク、あなたのソングライトの方法を教えてください。

 楽曲は全てが絵と同じようなイメージで捉えている。曲を作るスタイルは40年間変わらずだよ。ある程度の形が出来ると、仕上げの段階でスタジオに入り、最終的なアレンジと調整を施していく。オレの作曲はボブ・ディランからの影響が強いと思う。スタイルは全く気にせず、心を整えてから、アコギとともに心のままに歌っていくのさ。

 

 

Q ; アルバム・タイトルに込めた意味を教えてください。”Nomad”という曲はありませんね。

 「ノマド」と聞いて、みんなはどんな意味かは知っていると思う。オレにとっては、自身の存在とどのようにして40年間、アーティストとしての生活を送ってきたかを見つめ直す意味合いがあるんだ。心に従い、心に問いかけてきたけど、ホームと呼ぶことの出来る一箇所に落ち着く場所をなかなか見つけることができず、ずっと動き回ってきたと思う。これまでもアルバムごとに居るべき場所を探し続けていたのさ。思うに「ノマド」とはその場所をようやく見つけたということさ。そして旅と音楽の終着点に辿り着いたのかもしれない。そう思ってこのタイトルにした。全曲を繋ぎ合せて「ノマド」に成るのさ。

 

 

Q ; 良きパートナー、ソレン・アンダーセンについて教えてください。

 ソレンとは2009年に一緒に仕事を始めてから、音楽的にも人としても親友と言える大切な存在になった。そして彼はオレのことをわかってくれる良き理解者さ。音楽の方向性も正しく導いてくれるし、プロデューサー、エンジニア、プレイヤーとして才能がある。とても尊敬できる素晴らしい人間だよ。ソロとしても、バンドとしても、様々な音楽活動にその身を捧げていていつも忙しいナイス・ガイさ。

 

 

Q ; あなたの音楽的な影響を教えていただけますか?

 オレのことは十分に知っているだろ?(笑)フォークで育ってきたさ。ボブ・ディランや育ったデンマークのフォーク・アーティストに影響された。母がエルヴィス・プレスリーやロイ・オービソンが好きでいつも自然に身体の中に入ってきた。それからTHIN LIZZYやQUEENを聴くようになって大好きなバンドになったよ。他にもSLADE, SWEET, UFO, RAINBOWなんかにも夢中になった。それからより洗練されたアメリカン・サウンドに没頭するのさ。特にJOURNEYのスティーヴ・ペリーにね。アーティストになると自身とバンドを磨き、オリジナルティーを確立するのに必死だったから、残念ながらファンとして他のアーティストをチェックすることがあまりできなくなった。でも今はルーツに戻り、大好きなクラシック・ロックをメインに聴いている。THE BEATLES, THE ROLLING STONES, LED ZEPPELINなんかをね。でもボブ・ディランだけは別格。最も影響を受けたアーティストといって間違いないよ!

 

 

Q ; あなたにとってなくてはならない大切なアルバムを5枚教えてください。

1. BOB DYLAN『The Freewheelin’』

母がいつもかけていて心に刻まれたアルバム。ソングライターを目指すきっかけとなった大切なアルバムさ。

2. SLADE『Slade In Flame』

初めて購入したアルバム。今でも大好きな作品さ。“How Does It Feel”は今聴いてもベストな曲だね。

3. QUEEN『A Night At The Opera』

“Bohemian Rhapsody”を初めて聴いたときには震えたさ。僕もアーティストになる!ってね。これまでフレディ・マーキュリーのように歌った人を見たことがないよ。彼はいつもお気に入りのシンガーさ。何もかもが特別で憧れの的さ。

4. THE ROLLING STONES『Exile On Main St』

これは紛れもないロックン・ロールのシンボルさ。今でも古く感じることなくバンドが輝き続けているアルバム。ロック史においても重要な位置を占めるアルバムと言えると思う。

5. BRUCE SPRINGSTEEN『The River』

ボブ・ディランの姿を発見できるね。でもディランよりも新しいフィーリングがある。彼らしい曲と歌が存在しているのが素晴らしい!

 

 

Q ; アルバムに収録している各曲について教えてください。

 ごめん、アルバム全体がひとつのイメージから成り立っているから各曲を説明することは難しいよ。それぞれに込められた世界観、自身の感情を切り取ることはできないんだ。このアルバムは故郷であり、自身の形でもあるからね。

 

 

Q ; 現在のバンドのメンバーを紹介してください。

 これも説明するのが難しい質問だ。とにかくプロとして素晴らしいミュージシャンを揃えて表現したアルバムさ。彼らはスタジオへ入ると自分が伝えたこと、聴かせたことを理解して、プレイすることができるプロフェッショナルなんだ。自身のエゴや個人的な好みを排除して忠実に表現してくれることができる。本当に素晴らしい連中さ。

モーテン・ヘルボーンがドラム、ここ5枚のアルバムでプレイしてくれている。リンゴ・スターやチャーリー・ワッツ・スタイルのファンタスティックなドラマーさ。どんなメタルのドラマーよりも好きなプレイヤーだ。

ジェスパー・ホガードがベース。彼はポール・マッカートニーの音楽学校で学び、自身のスタイルを確立している。でもオレの書いた曲をすぐに理解してくれるからありがたい存在さ。

モーテン・バックホルツはハモンド担当。素晴らしいキーボードのスタイルを持ったプレイヤー。オレはまさに絵を描いていくようなハモンド・オルガンの音色が大好きさ。オーガニックだし、機械的ではなく、生き生きとしているテイストが素晴らしい。

ソレン・アンダーセンはさっきも出てきたけど、ミュージシャンズ・ミュージシャンさ。プロデューサーとしても腕があり、信頼できる素晴らしい人物さ。

 

 

Q ; あなたは以前バンド活動をメインに行っていましたが、バンドとソロとの違いについて教えてください。

 簡単に言うとソロは自身で全てを決めることができる。感じたままに自分の責任で進むことができるのさ。バンドはサウンドにしろ、曲にしろ、みんながそれぞれを理解した上で、一致団結して仕事をしなければならない。お互いが理解するということが一番難しいことだね。でも全てが合致して、ひとつのものを成し得たとき、その波及力は計り知れないと思うよ。どっちにもいいところもあれば、マイナスな点もあるということだね。

 

 

Q ; WHITE LIONについてです。『Mane Attraction』をリリースした後、結局は何が理由で解散することになったのですか?

 Ok, でも説明するにはとても長い話になってしまうよ。細かなことナシで簡潔に説明すると、いつからかバンド内の関係が次第に悪くなってしまい、空気も淀み、だれもが喧嘩さえしたくもない状況に陥ってしまった。原因はわからないけど、細かいことの積み重ねだと思う。特に悪いことのね。交渉することや、和解するということも一切なかった。今思うと答えを出そうと急ぎすぎたように思える。その時はもっと話し合い、より深く考えるということもしなかったよ。全てが悪い方向に向かってしまったね。終焉を迎える前に、その時が来るまではそう長くないだろうと感じていたさ。あの頃は人間としての力量と経験値がまだまだ少なかったと思う。今であれば解決方法を見出す事ができただろう。とても残念なことだけど、全ての楽曲を一緒に創り上げたヴィト・ブラッタとはそれ以来一切の交友関係がないんだ。25年が経過したけど何も変わっていないのさ。

 

 

Q ; ヴィトとは連絡も取っていないとのことですが、彼は今何をやっているのですか?

 そう、彼とは一切の連絡もしていないし、できない状態さ。彼が今何をしているのかは誰も知らないはずさ。彼は誰とも話したくないと聞いているよ。1991年にWHITE LIONが解散して以来、音楽には関わっていないと思う。素晴らしい才能とギターの腕があるのにとてももったいないことだよ。今からでも遅くないから音楽活動を開始すべきだね。彼のギターを聴きたがっているファンはまだまだ多くいるハズさ。オレもその中のひとりだからね。

 

 

Q ; あなたのライヴではWHITE LIONの曲をプレイしていますか?していたらその曲名を教えてください。

 ここ5年で、アコースティック・セットではWHITE LIONの曲をプレイしている。4枚のアルバムから自分で創った曲を選んでね。アコースティック用にアレンジしてフィットするようにプレイするのはとても楽しいことさ。原曲のメロディがとても活き活きと感じられるんだ。アコースティックでプレイしていい曲と感じることが出来るということは本当にいい曲という証明さ。(曲名の回答ナシ)

 

 

Q ; あなたの夢と将来的な目標とゴールを教えてください。

 今はそんなに多くの夢は持っていないよ。個人的にとても事情がある生活を送っているからね(笑)。どこかで生活している自分の子供たち、そしてオレがどこにいるかもわからない子供たち。残念なことに今は彼らと一緒に生活を送ることができないのさ。正直、とても苦しいさ。でも、そんな気持ちが自然と音楽に反映して、エモーショナルになっているのだと思う。何も隠さない状況と感情がね。ゴールはとにかくプレイし続け、アルバムを制作し、自身の表現をしていくということさ。バンドを新たに結成する予定はないけど、将来的に何かプロジェクトを行う可能性はあるかもしれない。

 

 

Q ; あなたのホームタウンでの音楽シーンについて教えてください。ライヴァルとか存在していますか?

 60年代と70年代初期のコペンハーゲンの音楽シーンはとても力強かったさ。でもオレが若い頃に音楽を始めたときから、数多くの競争をしてきたからそんなシーンのことなんか気にかけたことはなかったよ。バンドに参加するとただ単に楽しみたい!そんな感じさ。でもバンド同士が競争し合うことはあまり好きではない。アーティスティックな世界に居場所が無くなってしまうと思う。それはスポーツだけでいいのさ。

 

 

Q ; これからのあなたのスケジュールを教えてください。

 アルバム『Nomad』は間もなくヨーロッパとアメリカでリリースされる。そして大規模なヨーロピアン・ツアーを8月28日からキック・オフさ。そしてそのまま2016年のアメリカン・ツアーにつなげて行く予定さ。日本にも再び訪れることができたら素晴らしいよ。今交渉中さ。

 

 

Q ; 最後に日本のロック・ファンへメッセージをお願いします。

 再び日本の音楽シーンにもマイク・トランプの音楽を届けることができて光栄な気持ちでいっぱいさ。今でも1988年にWHITE LIONが日本へ行って、初めてのショウをプレイしたことを鮮明に憶えている。全てが成功に終わったこともネ。1993年にはFREAK OF NATUREでも日本公演を実現することができた。これも憶えているさ。とにかく日本でのことはどれもが素晴らしい思い出になっているし、いろいろなストーリーがあったことを思い出すよ。

日本のファンが新しいアルバムを聴いてくれると光栄さ。過去とは関係なくフレッシュで新しいスタートのような感覚で聴いてくれると嬉しいね。このアルバムは過去にとらわれることなく、今そしてフューチャーを見据えているのさ。聴いてもらえればわかると思うよ。日本のロック・ファンのみんな、本当にありがとう!

 

Mike Tramp / 8 Aug, 2015

 

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